彼女とケンカ、高級料理キャンセルできず… 調理師が狂言誘拐

 超高級ディナーをキャンセルできず狂言誘拐−。瀬戸内海の淡路島に住む調理師の男性(26)が17日、「誘拐された」と父親に話し、警官58人が緊急配備される大騒動となったが、保護された男性が自作自演だったと“自供”していたことが21日、分かった。その動機が約8万円のディナー予約をキャンセルできなかったためというから、関係者も呆れ果てている。

 トホホで済ますにはあまりに人騒がせな話だろう。県警の調べなどによると、兵庫県淡路町のイタリアンレストランで働く問題の男性=同県北淡町=は17日午後9時半ごろ、携帯電話で父親に「2人組の男に鉄パイプで殴られ、自分の車のトランクに詰め込まれている」などと訴えた。

 慌てた父親は県警岩屋署に通報。県警は、同署員や本部の機動隊員ら58人を緊急配備し、捜索にあたったところ、約1時間後、島内でマイカーに乗っていた男性を発見し、無事保護した。

 ところが、男性にケガはなく、トランクにも事件の痕跡はなし。同署で男性を問い詰めると、「交際中の女性と食事をするため、自分が働いているレストランで約8万円のディナーを予約していた。でも、当日、女性とけんかしてしまった。予約を断ると、上司に顔向けできないと思った」などと“自供”した。

 男性は近く軽犯罪法違反(虚偽申告)で書類送検されるが、捜査関係者は「ずいぶん高いワインを予約していたようだが、実に短絡的な発想だ」と呆れている。