妊婦のおなか切り胎児誘拐、母子とも無事 

 南米コロンビアで、妊娠8カ月の女性が連れ去られ、おなかの中の胎児だけが「誘拐」される事件が起きた。翌日、子供は発見され、母子ともに生命に別条はないという。同国では左翼ゲリラによる身代金目的の誘拐事件は多発しているが、胎児の誘拐は珍しい。

 地元警察の話と報道によると、事件が起きたのは1日夕。首都ボゴタ南西約90キロにあるヒラルド市の産婦人科医院で、妊婦のアンジェラさん(32)が受診した。帰り間際、待合室で見知らぬ中年女性から「おなかの子の性別はわかっているの? うちの子供の服をあげるから、遊びに来ませんか」などと誘われた。

 アンジェラさんは途中で清涼飲料水を勧められ、飲むと意識がもうろうとしてきた。気がつくと、ジャングルの中にひとりで寝かされており、腹部は切開され胎児がいなくなっていた。傷は縫合されていた。意識が戻る際、逃げる犯人たちの姿と子供の泣き声がかすかに聞こえたが、どうすることもできなかったという。

 地元警察は翌日、待合室で声をかけた女を見つけ逮捕、近くにいた子供も保護した。「帝王切開手術は手際が鮮やかで、医療関係者がかかわっている可能性がある」といい、共犯者がいると見て捜査を続けている。

 逮捕された女と左翼ゲリラのつながりは浮上していない。子供ほしさの犯行のほか、臓器売買組織などが関与している可能性もあるとみて調べている。

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縫合されていてよかった。。